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2008.07.16
松浦亜弥ファンの集い2008@大阪2回目レポ
今回の「ファンの集い」を称して、松浦亜弥さんは“マニアックライブ”と名付けていたけど、つい埋もれがちな日陰曲にスポットライトを当てた、松浦亜弥セルフプロデュースによる“裏チャート・ライブ”と言い換えられる。「今回は何か違うことが出来ないかな」と趣向を探った結果、「今の自分が素直でいられるのは歌っている時で、そんな姿を見てほしい」と考えた松浦さんの意向を受け、これまでアトラクションのひとつに過ぎなかったライヴステージを前面に打ち出し、「ファンの集い」では初の生バンド導入による全10曲をフルコーラスで披露し、時間にして90分にわたる本格的なコンサート仕立てにフェーズを一変させた。良い意味で、期待が大きく裏切られた格好だった。
▼着席スタイルはもとより、ギター、パーカッション、そしてキーボードによる3ピースバンドを従え、衣装替えや演出効果を省いて、歌とMCを両輪として進めるアコースティックな編成はディナーショーと同様で、言わばコンサートのエッセンスが徹底的に凝縮された内容であった。アーティストとファンの距離感をギリギリまで切り詰めていくと、最終的には歌い手を囲炉裏として取り囲んだ路上ライヴのようなプリミティブなスタイルに回帰するのですが、歌手として曲がり角をひとつふたつ越えた感のある彼女が志向するのは、それに近いもの。僕は彼女が歌い続けていく限り、ゆくゆくはそんな風に同じ地平で向き合えるファンとして係わり合っていきたいし、彼女が「歌手」としての欲求や達成感、自尊心を満たせる場というのは、そういう歩み寄った中でのライヴに終着するのかもしれない。
▼あややセレクトによるラインナップは、松浦さん曰く「ライヴでよく歌う曲は省いて、マニアックなところを狙った」とのことで、コア層を当て込んだマイナー人気曲を多く取り込むことになったもよう。その結果、ピックアップされたのが『Rock My Body』『ダイアリー』『待ち合わせ』『私のすごい方法』『風に任せて』『灯台』『ハピネス』『初恋』『dearest.』の9曲に、「洋服の青山」のCMソング『はないちもんめ(表記不明)』を加えた計10曲。『風に任せて』と『はないちもんめ』を除けば、これまでコンサートやディナーショーで既に披露されており、コアヲタ的にはそれほどマニアックな顔ぶれとは思わないのだけれど、いわゆる名刺代わりのシングルカット曲が1曲もチョイスされなかったという点では、松浦さん的に意表をついたB面ラインナップなんだろう。
▼バンドメンバーがスタンバイして定刻を迎えると、下手から松浦さんがスッと姿を現し、シルエット姿から『Rock My Body』をリード曲として披露。ペイズリー柄の白いワンピース に、白のニーハイブーツを合わせただけの夏らしい装い。終演後に「前髪を切りました」と打ち明けていたけど、いつにも増してチャーミングに思えたのは、そのせいだ。ディナーショーよろしく、椅子と譜面台が立て掛けられたステージの雰囲気を読み取り、誰も立ち上がろうとする気配なく、着席したままクラップだけで後押し。歌い終えた松浦さんは「結婚式の2次会で誰か歌ってるぞ、みたいな感じでリラックスして聴いていただければ」と、今日のライヴがアコースティックなおもてなしになることを告げる。
▼2曲目は、2003年のツアー「松リング PINK」で歌われていた『ダイアリー』。「カワイイ曲です」と紹介し、ポップなリズムに合わせてクラップを要求。でも僕は「今日は歌に身を任せておこう」という気分になり、ノリの悪い客なのかもなぁ~と気が引けつつも、とうとう終演まで身動きせずに傾聴することとなった。暗転後、そのまま立て続けに『待ち合わせ』へとリレー。アコースティックなアレンジが最も効いて、オリジナルとは雰囲気がほんのり様変わり。感情の込め方もコーラス部分のファルセットもお見事だったけど、この曲に限って言えば、何も解らずに歌っていた少女時代のフラットなトーンが僕は好きなので、CDトラックに軍配かな。経験が必ずしも無知に勝るとは限らないんだぜ、松浦さん(笑)
▼この後のMCでは、「CD通り歌えって言われたら、完コピできるんですよ」と松浦さん。歌だけでなく、作り笑顔もパッと用意できるような自分が人形みたいに思えて、自然体で振る舞おうって気持ちを一新したと振り返る。何度も聴かされたエピソードですが、未だに人形みたいに同じキメ顔で写真に写ってる田中れ○なさんみたいなメンバーもいるわけで(笑)。話を戻して、そういえばコンサート中に「あー疲れた~!」とか「しんど~!」って堂々とカミングアウトしてるのって、松浦さんくらいなモン(笑)。でもそれは松浦さんだからこそ嫌味にならないのであって、モー娘。メンバーなんかに言われちゃうと、マジでファンを心配させちゃうからね。あややは正直なままでよろしい。
▼ファンアンケートを交えたトークコーナーが終わると、「人気があるけど、あえて避けてきた曲」と勿体ぶっていたことを明かし、『私のすごい方法』を歌い始める。等身大で歌われていた当時よりも、今こうして振り返るポジションに立つことで、かえってノスタルジーに訴えかけるものだ。以前は特に琴線に触れる曲ではなかったけれど、今ではスッカリ僕のお気に入り。続いての『風に任せて』は、最新アルバム『ダブルレインボウ』の中でもリピートする機会のない曲だけど、とうの松浦さん本人も「(他の曲も含めて)どういう気持ちで票を入れたのか聞くべきでした」と、格別の思い入れもなさそう(笑)。でもセットリストを眺めると、こうやって場内の空気を動かすような軽快なナンバーも、ライヴのバランス上、必要なんだろうと思う。
▼次の曲は、今回のアコライヴで圧巻だった『灯台』。「この曲の主人公は憧れ」という松浦さんは、そんな理想像とは異なる自分を対比させながら、ボーカルの限りを尽くして絶唱。まるでこの場にいない誰かに向かって、言葉では言い表せない複雑な女心を歌になぞらえているようで、ただただ圧倒された。僕は以前、「20歳を超えた松浦さんが歌うには幼稚だ」なんて評したこともあったけど、それはトンだ見当違いであって、この曲こそ今の彼女の合わせ鏡になっている作品なんだと、ハッとさせられた。参加費の大半は、この1曲で回収できたくらい。この日のソウルフルな歌唱は、しばらく耳に残りそうだ。
▼ツアーでお馴染みになったバンドメンバーをひと通り紹介すると、「これはメンバー絶賛なんです」とニンマリ前置きして、アコギとのタッグで『ハピネス』を熱唱。コンサートやカジュアルディナーショーで聴き馴れたせいもあって、とくにコレというお得感もなく。その後を引き継いだ『初恋』も定番ソングで、ちょっと食傷気味かなというところ。でも松浦さんが「個人的に好きなんで、歌いました(笑)」と言い切るもんだから、クレームの余地がない(笑)。そしてラストは、「アンケートでもダントツのナンバーワン」だったという、松浦さんイチ押しの『dearest.』。 ※参照:松浦亜弥『dearest.』体験
▼その松浦さん、投票結果が意外だったらしく「『LOVE涙色』とか『Yeah!めっちゃホリディ』が上位にくると思ってました」と踏んでいたようだけど、ファンの心を解っているようで解ってないな(笑)。なんでも友人のサエコとダルビッシュ夫婦の結婚式で披露することを約束しているようですが、ことコンサートでは1年半前のハロプロコンで歌って以来、とんとご無沙汰中。僕にしても生聴きするのは昨年4月のカジュアルディナーショーに遡るのですが、あの時は大事なヤマ場で歌詞をすっ飛ばして歯抜け状態のままフィナーレを迎えたこともあり、ずっと胸に引っかかっていたから、またとないリベンジの機会になった。この日は歌詞間違いが少し見受けられただけで(僕が気づいたのは1ヵ所だけ)、あとはもう文句なしのパーフェクトな歌唱だった。次こそはフルバンドで聴けることを期待している。
▼鳴り止まない拍手に促されて、ものの1分程度でステージに再登場。お土産代わりのアンコールは、今後シングル化やアルバムへのエントリー、ラジオでのオンエア予定もないというCMソング『はないちもんめ』。全体的な印象は『風信子』のようなフンワリした柔らかいメロディと叙情的なリリック(歌詞)で、童謡のような座り心地の作品。松浦さんの暖かいボーカルに包まれながら、多幸感に満たされて終演を迎えられた。最後に「とにかく今は歌うのがホントに楽しくて」と歌手活動が順調であることを述べながら、「恥ずかしくてまだゴーサイン出せないんですが、いずれ“作詞・松浦亜弥”という歌を届けられるように取り組んでます」と、ビックリ仰天な発言で結ぶ。
▼どうやら自作詞を書き溜めているようで、自分の言葉で歌う日が近い将来くるかもしれない――なんて青写真を描いていることからも、いかに松浦さんが歌手として順風満帆な日々を過ごしているか伺えるもの。でも矢沢の永ちゃんみたいに作詞を他人に丸投げしても、ちゃんとカリスマとしてメッセージを発信できるトップアーティストもいるし、岡村靖幸のように他人の歌詞じゃ気持ちが乗らないから自分で書いたものを歌う――なんて風にスタイルを変えていく例もあるから、色々と試行錯誤するのもいいだろう。何より「歌うこと」に対して前向きで貪欲な姿勢が、今の彼女からビリビリ伝わってくる。願わくば、10年、20年先もこうして彼女の歌に耳を傾けていられたら。
▼以上、自分では火曜日を〆切りに設定して、時間を見つけてコツコツ書いていたのですが、なにぶん多忙な時期と重なり、1日遅れでの上梓となりました。要するに何が言いたいのかというと、あやや愛してるってこと(笑)
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